ひぐちアサ 「ヤサシイワタシ」

ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンKC)

ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンKC)

ヤサシイワタシ(2)<完> (アフタヌーンKC)

ヤサシイワタシ(2)<完> (アフタヌーンKC)

★★★★★★★★☆☆

いつもこのブログでは巻ごとにわけて感想を書いているのですが、2巻一気に読んでしまったこと、そして1巻を読み終わったときの気持ちで1巻の感想を書けないと思ったので、まとめて書きます。

ひぐちアサと言えば何と言っても「おおきく振りかぶって」が出世作なわけだけど、今は青春な漫画を書いている人がこんなのも書いているとは思わなかった。
舞台は都内の私立大学。どこか信用できない集団の中にいて、普段の会話にも何かしらトゲが飛び交っている感じ、初めは好き合っていたはずなのに、何がきっかけかはっきりとはわからないうちにどんどんとずれていき、修復が想像できない感じ、人の意見に納得できず、何か言い返したいのに、自分の言いたいこともまとまっていなくて、でも何か言いたくて言葉を重ねてみる感じ・・・身に覚えがあるやりとりをこの漫画の中に見た。
1巻の時点では冬目景イエスタデイをうたって」をもう少し直接的で攻撃的にしたようなものかなと思っていたのだけど、2巻に入ると趣きが変わる。
全てが嫌になってしまった時、だるくなってしまった時、人に嫉妬してしまった時、やる気がない人をみてがっかりしてしまった時、どうすればいい?人と話したくて、でも自分から言い出すのは嫌でかまって欲しくて、アピールのためにいつもと違う顔をしてみるとか、やったことないですか?みんなそんな健康に生きてるのか?聖人か?
自分が悲観的なことに対して落ち込み、周りの人はなぜそんなに元気に動けるのかと疑問に思い、そしてまた自分と対比させてますます落ち込んでいく・・・そんな思い悩む人へおすすめする作品。みんなぐるぐるしてて、みんなよくわかんないまま生きてるから大丈夫だっ。