沼正三/石ノ森章太郎 「劇画家畜人ヤプー 復刻版」

いいこと、フォン・コトヴィッツ嬢。これヤプーよ!!
あなたの20世紀が、ヤプーという呼び名をご存じかどうかは問題じゃないわ。
問題は肌の色よ。この黄色の肌が教えてくれるわ!
これはヤプーで、人間じゃないってことを…!!

劇画家畜人ヤプー【復刻版】

劇画家畜人ヤプー【復刻版】

白人が人間、黒人は奴隷、そして黄色人種は家畜である・・・という一種のディストピアを舞台にした話。この世界では黄色人種ヤプーと呼ばれる)は牛・豚と同じように扱われる。人権とかそういうものもなく、ヤプーは交配・肉体改造を繰り返され、トイレ・家具・食用(!)など、人間社会になくてはならないものとして定着している。
「女系社会である」というのも原作の大きなポイントになっていたと思うのですが、この漫画版では日本人が未来では家畜として扱われている、という点に主眼を置いて書かれています。
肉体改造を施されたヤプーの造形がすごく気持ち悪い。特にトイレ(作中では標準型肉便器という名称)の役割を果たすヤプーは異形という他ない。
随分ぶっ飛んだ設定ではありますが、それを補うために相当深い世界設定があります。黄色人種がどうしてこの世界では家畜として扱われるようになったか、という説明は非常に長い文章で説明されています。この部分は原作引用かも。300ページ弱の漫画ですが、世界設定を知るための文章がかなりの分量なので、結構読み応えがあります。