2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャック・ケッチャム「襲撃者の夜」

テレビから声が聞こえていたが、だれかが蹴り壊した。電気に由来する煙の、なじみ深い鼻をつく匂いに記憶を刺激されて、もうちょっとで自分がだれでここがどこなのか、そして麻酔をかけられて夢を見ている自分をいま手術している、むきだしの乳房を血で染め…

「NOVA 1」

敵の攻撃によって地中深く沈んでしまった会社を残された同僚たちといっしょに掘りはじめてもう半年近くになるのだが、あてにしていた失業保険がなかなか出ないこともあって、いよいよ貯金が心細くなってきた。そのせいなのかどうなのか帰宅すると、ねえ今日…

スタニスワフ・レム 「完全な真空」

著者は第二部で、蓋然論を拠り所とする未来の予知が無益であると公言する。歴史には、確率論の立場からすれば到底あり得そうもない事実以外、いかなる事実も含まれていないのだということを証明しようとするのである。コウスカ教授は二十世紀初頭のある架空…

乙一/清原紘 「失踪HOLIDAY」

失踪HOLIDAY (角川コミックス・エース (KCA170-1))作者: 乙一,清原紘出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/11/25メディア: コミック クリック: 15回この商品を含むブログ (60件) を見る絵はうまいし、話もうまくまとめられていたんじゃないかな、と思う。…

弓月光 「甘い生活」 7巻

甘い生活 7 (ヤングジャンプコミックス)作者: 弓月光出版社/メーカー: 集英社発売日: 1993/06メディア: コミック クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る深夜番組の説明が「えっち」というのは、時代を感じますね。この漫画は1990年から連載されて…

Bjarne Stroustrup 「C++の設計と進化」

私は新しい技術を人びとに推奨しその進化を説得するとき、無理をせずにゆっくりゆっくりやるのが好きだ。人びとを"洗脳する"テクニックがあることは知っているが、そういうテクニックには基本的に違和感を感じる。しかもそれらは、長期的かつ大規模に有効と…

大森望/豊崎由美 「文学賞メッタ斬り!」

豊崎 とにかく芥川賞は選考委員が……。シンちゃん(石原慎太郎)もひどいでしょっ!テルちゃんもシンちゃんも、たぶん二十世紀後半の現代文学とか読んでないもん。このひとたち、いわゆる新しい小説なんてものを絶対読まないタイプ。でも、逆に言えば、新しい文…

美内すずえ 「ガラスの仮面」 17巻

ときおりあなたの眼にやどるやさしい光はなんですか?あたしをみる眼のその淋しそうな陰はなんですか?あなたの心をおしえてください…! ガラスの仮面 (第17巻) (白泉社文庫)作者: 美内すずえ出版社/メーカー: 白泉社発売日: 1994/12/01メディア: 文庫購入: …

京極夏彦 「魍魎の匣」

「な、何です?あれは……」敦子が指差す。眩しさに目を細めて見る。そして私は警官隊の背後に、到底この世のものとは思えない威圧的なカタマリを認めた。それは巨大な箱だった。三階、いや四階建てのビルディング程は優にあろうと云う、巨大な箱だった。建物…

カネコアツシ 「SOIL」 1巻

SOIL 1 (Beam comix)作者: カネコアツシ出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2004/01/31メディア: コミック購入: 2人 クリック: 39回この商品を含むブログ (72件) を見るまだこの話がナチュラルなのかスーパーナチュラルなのかの判別がつかない。雰囲…