藤子・F・不二雄 「気楽に殺ろうよ」

フーム……… なんと恐ろしい! 地球人たちは殺人を公認しているのですか!まったく考えられんことだ。

そーなんですよ。

さて、ここでまた地球人の視点にたってみましょうか。この社会をひとつの巨大な生物にたとえよう。
生体にとってですな、それを構成する細胞の間にですな、たがいに殺し合いたがるほどのトラブルをかかえこむということは、望ましいことでしょうかな!?個人的イザコザは個人的に解消したほうが……

そんなムチャな!!ムチャクチャだ!!

さらに……地球の容量から考えれば、現在の社会は成長期をすぎたとみなければなりません、

いや、しかし………

これ以上ふくれあがることは許されない。あとは、個々の細胞の代謝だけです。

だが、しかし……

出生率は年々増加するのに自然死は減る一方!と、なれば無理のない形で間引きを考える必要も……

………………

では、うかがおう!なぜ、生命は尊重しなくちゃならんのです?

わかりきったことだ!!

それじゃ答えにならない。論理的に説明してください!さあ!さあ、さあ、さあ!

それは………

(気楽に殺ろうよ)

ミラクルマン
大予言
老雄大いに語る
光陰
幸運児
やすらぎの館
定年退食
サンプルAとB
休日のガンマン
分岐点
換身
気楽に殺ろうよ
ウルトラ・スーパー・デラックスマン

この短編集を読んだあとでは、もう藤子・F・不二雄ドラえもんの人、という認識ではいられないだろう。なんとも強烈な短編集で、特に表題作や「定年退食」は恐ろしい。ブラックなネタてんこ盛り。
どのネタも素晴らしくSFしていて楽しかった(「光陰」だけはちょっと唐突な終りだった)。