DJ TECHNORCH 「読む音楽」
なんだかよくわからないけれど、テクノってこんなにも幅が広い音楽らしい。もはやレコードショップなんて行っている場合ではありません。歴史を漁った方が遥かに効率的だ!そこのブックレットに記されていた「佐久間英夫 / テクノのススメ」をすぐさま書店で注文しました。ここから私の中の文字で考える音楽が大爆発します。そこから得られる情報量はもはや音楽単体を聴いているころとは比較にならない情報量でした。そして手当たり次第に音楽本を買い漁ることになります。
「そういう本読んで、何になるの?」
「真面目だねぇ」
「勉強家だねぇ」
私は勉強をするために音楽本を読んでいるのではありません。楽しいから読んでいるのです。
- 作者: DJ TECHNORCH,デッドボールP,槇タケポン,ARM,みらゐ,MORRIGAN,源屋,JEA,REDALiCE,masayuki,To-Mad,Betwixt & Between,kawayoo
- 出版社/メーカー: 999 Recordings
- 発売日: 2008/12/12
- メディア: 単行本
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DJ TECHNORCHが現在の日本のクラブミュージック・同人音楽界隈について書いた本。同人本なのに300Pを超えていますが、意外とさっくり読めました。
- 第一章 音楽以外の音楽
- 改訂・自分語り 第1章 / DJテクノウチ
- ガバ進化論 / JEA
- 音楽考察 その他 / MORRIGAN
- ネットレーベルインタビュー / masayuki
- 第二章 オリジナリティはどこにある?
- 改訂・自分語り 第2章 / DJテクノウチ
- 読む音楽 / ARM
- 情報網 / みらゐ
- リバースのすすめ / Betwixt & Between
- ネットレーベルインタビュー / masayuki
- 第三章 ノリの大別
- 改訂・自分語り 第3章 / DJテクノウチ
- プログレッシブ・ロックへの想い / 槇タケポン
- 初音ミクへの想い / デッドボールP
- ネットレーベルインタビュー / masayuki
ニコ動やHARDCORE TANO*Cなどを追っている人にとっては馴染みがある名前もあるでしょう。
内容ですが、DJ TECHNORCHが音楽ゲームと出会い、クラブミュージック、そして音楽本と出会う過程がとにかく面白いです。タワーレコードの店員とのやりとりとかとてもいいですね。DJ TECHNORCH自身はGABBAという音楽を探すにあたって「とにかく情報がない」「説明が初心者向けでない」という事情があり、とても大変だったようです。こんな状況の中からクラブミュージックを探り当てた要因として、情熱の他に「家が首都圏」というのが強力に働いたと僕は思います。
僕は青森市の生まれですが、青森市にはタワーレコードというCDショップがありません。クラブミュージックがずらっと並んでいるなんていう環境が身近になかったため、最近東京に引っ越してきてカルチャーショックを受けました。「なんでも買えるじゃん!」と。著者と同じように、音楽ゲームにはまり、「もっとこういう音楽が聴きたい!」と思い、しかし次の一手をどうすればいいかわからないという境遇の人はかなり沢山いたと思われます(僕もその一人)。現代ではインターネットで様々な記事が読めたり、AmazonでニッチなCD、本も入手できるので10年前よりかなりよい状況になっているとは思いますが、本書、またDJ TECHNORCHのブログは音ゲーからクラブミュージックへの良いパイプとして機能していると思います。
さて、本書は後半になるとどんどんとニッチな方向へと進んでいき、まさに同人、といった対象範囲の狭い文章になっていきます。僕はぶっちゃけ「ニコ厨」なのである程度わかりましたが、クラブミュージック側の専門用語はわからなくて少し苦労しました。
DJ TECHNORCH以外に10人ほどの寄稿がありますが、テクノウチ氏の文章の読みやすさと並べてみると、率直に言ってとにかく読みづらくわかりにくいものが多かった。それから本書全体に誤植が多く見られたので、★をちょっと減らしてあります。
まとめ。ニコニコ動画でクラブミュージックに関連があるような動画、アニメOPなどのMAD動画が結構好き・音ゲーをやっていて、もっとそんな音楽が聴きたい・クラブというところに興味がある 人にはおすすめです。