桜庭一樹 「お好みの本、入荷しました 桜庭一樹読書日記」

 一時間半ぐらい早めに出て、渋谷の本屋を回る。《ブックファースト》に、《旭屋》に、《リブロ》に……と思ったら、《リブロ》を流していて顔見知りの書店員さんに会う。わたしをみつけると「あ、桜庭さん。いいの入りましたよ」と隅のほうに誘導していった。<ユリイカ>の別冊「矢川澄子特集」を指差して、「二〇〇二年に出たやつで、なかなか重版かからなかったんだけど、ようやくかかったから多めに入荷しといたんです。ていねいな作りでいいですよ」「ふーん……(ぱらぱらして)あっ、ほんとだ」「となりにお兄ちゃん(澁澤龍彦)の書簡集もおきました。へへ」「おぉ、カラーページが多いのに四千二百円。すごい」「そのまたとなりに種村(季弘)さんの本も!」「おぉー」
 気づいたら抱えてレジに並んでいた。しかし、本屋さんってこんな感じだったっけ?いまちょっと魚屋さんぽかった(「おっ、今日は鯵が新鮮だよ」「アラ頂くわ〜」的な)気がする。ほくほくと本屋を出る。

お好みの本、入荷しました (桜庭一樹読書日記)

お好みの本、入荷しました (桜庭一樹読書日記)

★★★★★★★☆☆☆

一年で400冊以上本を読む作家、桜庭一樹による読書日記シリーズ3作目。もう3作目ともなると形式やテンポも確立していて、真新しい展開というのはない。ないはずなんだけど、今回は読んでいて「あっ、これ読んでみたいかも」と思って検索、Amazonほしい物リストにぶち込んだものがやたら多かった。そして相変わらず読書欲求を増幅させてくれる。もっと本を読む時間をとらなければな、と思わせてくれたので嬉しい。