福満しげゆき 「生活 完全版」

生き……………………
何もいいことがない……………

生活【完全版】 (KCデラックス)

これは泥臭い「デスノート」だ、と思った。日常の中で、何か嫌なことがあって悔しくて、こうだったらいいのに・・・という妄想を抱いても実際にはそうじゃない。デスノートというのはそういう負の欲望を「死」という形でとても極端に顕現させるものだった(と僕は思っている)のだけれど、この漫画の世界にはそれがなく、(かなり非現実的ではあるけど、デスノートに比べればかなり普通の)現実的な方法で話が始まり、進んでいく。
あとがきで作者が「トレマーズ」の話をしているが、この漫画、たしかにとってもトレマーズっぽいと思う。たしかに怖いんだけど、滑稽さというか、緩さが多かれ少なかれつきまとう。戦いの最中に「え!?話しかけるんすか？ホントに社交性がありますよね」なんて、ジャンプでは絶対にありえないもの。
内容以外の話をすると、5話まではコマ割りが異常に細かくて読みにくいんだけど、それ以降はどんどんコマ割りが大きく改善されて読みやすい。作者はガロ(アックス)出身だけど、最近どんどん青年誌よりな作風に変化してきている気がする。またストーリー漫画描いてほしいな。